
スキャンダルが起きたとき、芸能人は「謝罪会見を開く」か「やり過ごす」かの選択に迫られます。後者を選択した場合、その後の芸能活動=ビジネスに大きな影響が出る場合とそうでない場合があるようです。いったいその違いはどこにあるのでしょうか? 永野芽郁さんを主な例に、謝罪とビジネスモデルの密接な関係を読み解きます。
(増沢 隆太:東北大学特任教授、人事・経営コンサルタント)
ビジネス側面から見る謝罪
俳優・田中圭さんとの不倫疑惑が報道された永野芽郁さんですが、主演映画の公開に際しての舞台挨拶を最後に、公の場に姿を見せていません。一方で主演映画は好調だというニュースもあり、そもそも当人たちが否定している、刑事犯罪でもない不倫の疑いというのは、そこまで断罪されるのかという意見も見られます。
長年芸能人や政治家のスキャンダルがあるたびに、私はマスコミから謝罪会見分析を依頼され、取り組んできました。私は芸能の専門家ではなく、ビジネスにおける戦略コミュニケーションが専門です。その際の視点はブランディングや事業リスクとそのリスク管理、特に危機対応としてのコミュニケーションに置いています。
道徳的正否や倫理観ではなく、ビジネスの視点としてみれば、「やらかし」によるダメージコントロールをどこまでできるのかが重要となります。
今回の永野芽郁さんのスキャンダルも、ご当人は否定しており、その真偽についてはわかりません。「人として」というような価値観とは切り分け、謝罪が必要になるようなトラブルにおいての対処を考えていきましょう。
永野さんに限らず、スキャンダルの最大の問題は「仕事」です。文字通り舞台挨拶をもって表舞台から姿を消した状態になっていますが、事態は深刻化しています。

出演予定だった再来年度のNHK大河ドラマや、始まってまもないラジオ番組・オールナイトニッポンXからの降板が伝えられました。これは仕事ができなくなってしまっている、事業継続が難しい状況だといえます。