ウクライナの無人機から撮影したロシアの爆撃機Tu-95が炎上する様子(ウクライナ保安庁が公開した動画よりキャプチャー)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

指揮官は実践的で屈強なマリューク長官

[ロンドン発]ウクライナ保安庁(SBU)がドローンを使ってロシア深層部の戦略爆撃機、早期警戒管制機41機を破壊したとされる「蜘蛛の巣」作戦について、米紙ウォールストリート・ジャーナル(6月4日付)は「イスラエルのモサドのような目覚ましい作戦」と評価した。

 北大西洋条約機構(NATO)高官はウクライナ公共放送局(ススピーリネ)に「約40機が損傷、うち10~13機が破壊された」ことを確認した。ウクライナに向け巡航ミサイルを発射してきた戦略爆撃機を失ったことで、ロシア軍はドローンと弾道ミサイルを増やす可能性がある。

 WSJ紙は「SBUは数十年にわたり腐敗、裏切り、安全保障上の脅威より政敵を陥れることに明け暮れてきたと非難されてきたが、3年を超える戦争を経て、秘密作戦とドローン攻撃でロシアに狙いを定めるウクライナの鋭い槍の穂先へと変貌した」と報じている。

 それによると、実践的で屈強なヴァシーリー・マリューク長官(42)の指揮下、SBUは裏切り者やロシア軍将校の暗殺、ロシア国内の軍需工場や石油施設を標的としたドローン攻撃を展開。水上ドローンを開発し、ロシア海軍の黒海艦隊をクリミア半島の母港から追い払った。

ウクライナ保安庁(SBU)のヴァシーリー・マリューク長官(SBUの公式Xより)