2025年5月29日、アジア選手権、男子110mハードルで優勝した村竹ラシッド 写真/アフロ

(スポーツライター:酒井 政人)

悪天候にも動じず村竹がアジア制覇

 アジア選手権の3日目は雷雨の影響で、午後セッションの開始が大幅に遅れた。それでもパリ五輪の男子110mハードルで5位入賞を果たしている村竹ラシッド(JAL)は強かった。

「プレッシャーは特に感じていなかったですけど、負けるわけにはいかなかったので、そういう思いでスタートラインに立ちました」

 難しい状況で行われた決勝レース。村竹はスタートで出遅れたが、中盤以降で劉俊茜(中国)を逆転。13秒22(+0.7)で金メダルを獲得した。

「少し抑えようという気持ちもありましたが、出遅れが一番良くなかったですね。それさえなければタイムはぼちぼちだったと思うので、0.05秒ぐらいは変わっていたのかな……」

 村竹のリアクションタイムは出走した8人のなかで7番目の0.204秒。劉より0.076秒も遅かったことを考えると、スタートの失敗が痛かった。また「初めて使うタイプ」のスターティングブロックだったのも前半の加速に影響したようだ。一方で成長を感じたレースになったという。

「タイムのアベレージは昨季と比べて0.1秒ぐらい上がっています。これまでのレースは前半しっかり出られて、今回は後半に伸びるようなレースができました。この2つをうまく組み合わせたレースができたらいいなと思っています。世陸で12秒台を出せたら最高ですし、メダルも現実的になってくる。9月の世陸に向けてしっかり調整していきたい」

 今後は6月20日のダイヤモンドリーグパリ大会に出場予定。すでに東京世界陸上の代表が内定していることもあり、7月上旬の日本選手権は出場を見送り、ハイレベルの海外レースに挑むプランを持っている。そしてターゲットにしている東京世界陸上の「メダル」に向かって突き進んでいく。