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6月16日(現地時間)からカナダでG7サミット=主要7カ国首脳会議が開催されます。関税交渉をめぐる日米首脳会談に注目が集まっていますが、はたして「きちんとした合意」は得られるのでしょうか。一方、米国と中国の交渉では、「レアアース対半導体」という対立構造が鮮明になっており、日本への影響も懸念されています。経済産業省(旧通商産業省)で対米通商交渉を務めた明星大学教授の細川昌彦氏に、複雑化する関税交渉をどのように読み解くべきか、話を聞きました。

(取材日:2025年6月13日)

※詳しい内容は、JBpress公式YouTubeでご覧ください。

赤沢再生相の頻繁な訪米で浮かぶ焦点

——G7での日米首脳会談に注目が集まっています。これまで赤沢経済再生相が毎週のようにワシントンを訪問し、関税交渉を続けてきましたが、これまでの交渉をどう評価しますか。

細川昌彦・明星大学教授(以下、敬称略):これはもう大変な精力的な交渉で、これほど異例な交渉を私は見たことがありません。相当詰めて交渉していると思います。そこは評価できますが、相手もなかなか難攻不落です。G7での日米首脳会談では、「きちんとした合意」は無理でしょうが、大枠の合意は目指すでしょう。

 まず、私はこれまでも、この交渉における日本の最大の関心事項は自動車の追加関税の部分だと指摘してきました。もちろん相互関税の上乗せ部分や、鉄鋼への関税もありますが、日本経済への影響の大きさを考えると、自動車関税こそが焦点になっています。

——以前のインタビューでは、交渉に誰が出てくるかで焦点が見えてくると指摘していましたね。

細川:6月初めの5回目の交渉では、赤沢再生相は2日間、ワシントンで交渉しています。初日にラトニック商務長官と約110分、翌日にはベッセント財務長官と約45分、さらにその後、再びラトニック商務長官と2度目の会談を約2時間しています。

 このことはとても重要で、これまで交渉の取りまとめ役はベッセント財務長官なのでラトニック商務長官はあまり重要ではないと言う人がいましたが、全く違います。

 自動車関税を管轄しているのは商務省です。相互関税の上乗せ部分はベッセント財務長官だけで判断できますが、ラトニック商務長官と2度も会談しているということは、自動車関税が焦点になっているということです。