日本生命保険相互会社 常務執行役員の中村吉隆氏(撮影:酒井俊春)

 日本生命保険(日本生命)では、全社的な人事改革が進行中だ。「かけはしプロジェクト」と名付けられたこの改革では、採用・定着、キャリア開発、それを支える人事制度・運営が一体となった取り組みが進められている。中でも人事制度については、約40年ぶりに大幅な刷新が行われた。職種を統合し、より柔軟なキャリア構築を可能にすることを目指している。

 改革の狙いや推進にかける思い、ここまでの手応えについて、改革をけん引する常務執行役員の中村吉隆氏に聞く。

人事施策を包括的に刷新

――現在、日本生命保険(日本生命)は、約40年ぶりの制度改定を含め、「かけはしプロジェクト」と呼ばれる包括的な人事改革を進めています。なぜ、こうした大改革に着手したのでしょうか。

中村吉隆氏(以下、敬称略) 一つは事業環境の変化です。近年、保険業界では、社会の少子高齢化が進む中で、各社が独自の戦略を展開し、市場競争が激化しています。その中で日本生命は、長期的に目指す姿として「安心の多面体」を掲げ、海外展開を進める他、ヘルスケアや介護といった新規ビジネスにも注力しており、事業の幅を広げています。こうした環境の変化に対応できる多様な人材を確保・育成することが喫緊の課題となっています。

 一方で、人材の流動化も進んでいます。ライフスタイルや働き方の価値観も多様化する中で、今や個人が会社を選ぶ時代になりました。従業員一人一人が最大限にパフォーマンスを発揮できる環境を整備し、従業員に選ばれる会社とならなくてはいけません。そのような観点から、今回の改革に踏み切りました。